Cooper, E. B., Fenigstein, A., & Fauber, R. L. (2014). The Faking Orgasm Scale for Women: Psychometric Properties. Archives of Sexual Behavior, 43 (3), 423–435. doi: 10.1007/s10508-013-0212-z
①調査手法:質問紙法
②調査協力者:
Study 1:ペンシルバニア州の女子学生481名(平均年齢 = 20.33歳, SD = 2.48)
Study 2:ペンシルバニア州の女子学生398名(平均年齢 = 20.52歳, SD = 2.55)
⇒これらのうち,(1)性交渉か口腔性交の経験があり,(2)偽装絶頂(faking orgasm)をしたことがある人のみを分析の対象とした
Study 1:94.2%が性交渉あり,97.9%が口腔性交の経験あり,89.5%が絶頂の経験あり。偽装絶頂の経験がある女性の割合は不明
Study 2:94.2%が性交渉あり,95.5%が口腔性交の経験あり,87.4%が絶頂の経験あり。偽装絶頂の経験がある女性の割合は不明
③女性版偽装絶頂尺度(Faking Orgasm Scale for Women: FOS)の構成
1.先行研究とフォーカスグループインタビューから73項目の素案を作成
2.構成概念は「性交渉および口腔性交において偽装絶頂をする女性の動機」,その内容は(1)絶頂や偽装絶頂,自慰,関係要因,責任感についての信念,(2)口腔性交に関する行動や信念,(3)性交渉に関する行動や信念
3.予備調査(n = 117)の結果,相関が過度に高い(r > .80)項目はなかったため,すべての項目を含めた
4.予備調査の結果と追加でのインタビューでさらに項目を増やし,合計163項目を作成した
⇒ 下位尺度として,Ⓐ性交渉(sexual intercourse)下位尺度(80項目)と,Ⓑ口腔性交(oral sex; 口腔性交をされる場合)下位尺度(83項目)がある
5.偽装絶頂の教示文内での定義は次の通り:「理由の如何に関わらず,声を出したり体を動かすことを通じて,実際にはそうでないのに絶頂した演技や振りをすること」(acting or pretending as if you have had an organism when you have not, through vocal confirmation and/or muscular contraction, regardless of the reason)
6.選択肢は,「一度もない(never)」から「いつも(always)」の5件法
Study 1:探索的因子分析
①性交渉下位因子の結果
1.固有値1以上を基準にして4因子に決定
2.因子負荷量.60以下で項目を落とした結果,35項目が残った
3.因子構造(Table 1):
Ⓐ利他的欺瞞(α = .96; 15項目):相手の気持ちを慮って偽装する場合
項目例:「あなたが本当は絶頂できなかったとしても十分にできなかったという思いを相手にさせないためですか?」
Ⓑ恐怖と不安(α = .93; 10項目):ネガティヴな感情を回避するために偽装する場合
項目例:「絶頂しなければあなたに何か問題があると思ってしまうからですか?」
Ⓒ昂奮の向上(α = .93; 7項目):女性自身の昂奮を高めるために偽装する場合
項目例:「自分の気分を盛り上げるためですか?」
Ⓓ性的離脱(α = .76; 3項目):性交渉を早く終わらせるために偽装する場合
項目例:「単純に自分自身楽しんでいないからですか?」
②口腔性交下位因子の結果
1.固有値1以上を基準にして4因子に決定
2.因子負荷量.60以下で項目を落とした結果,26項目が残った
3.因子構造(Table 3):
Ⓐ利他的欺瞞(α = .94; 10項目):相手の気持ちを慮って偽装する場合
項目例:「あなたを喜ばせることができると相手に思ってもらうのがあなたにとって重要だからですか?」
Ⓑ不安回避(α = .89):ネガティヴな感情や不安に類似した感情を回避するために偽装する場合
項目例:「口腔性交の時,恥ずかしいからですか?」
Ⓒ昂奮の向上(α = .91):女性自身の昂奮を高めようとする試みから偽装する場合
項目例:「自分の気分を盛り上げるためですか?」
Ⓓ機能不全の恐怖(α = .86; 4項目):性健康や不十分な性的反応に伴うネガティヴな感情を阻止するために偽装する場合
項目例:「絶頂できないことに恥ずかしい思いを感じるからですか?」
Study 2:確認的因子分析
①性交渉下位因子の結果(Table 5)
・1項目(「本当の絶頂に達せないと,十分にできなかったと相手が思ってしまうからですか)を除外
CFI = .95, RMSEA = .048 (90%CI [.042–.053])
②口腔性交下位因子の結果(Table 7)
・4項目を除外
CFI = .95, RMSEA = .058 (90%CI [.050–.066])
・性交渉における偽装絶頂の動機は,利他的欺瞞,恐怖と不安,昂奮の向上,性的離脱
・口腔性交における偽装絶頂の動機は,利他的欺瞞,不安回避,昂奮の向上,機能不全の恐怖
・尺度の信頼性係数は十分(むしろ不必要に高すぎるまである)
・偽装絶頂は,関係性を持続・向上させるためという動機から行われることもあることが示された