Willis, M., Canan, S. N., Jozkowski, K. N., & Bridges, A. J. (2019). Sexual Consent Communication in Best-Selling Pornography Films: A Content Analysis. Journal of Sex Research, 57 (1), 52–63. doi: 10.1080/00224499.2019.1655522
①調査手法:内容分析
②分析の手続
1.2015年のベストセラーのAVを50本をリストアップ
2.これらのAVから「同意」に関する部分とその前後30秒を抜き出す
3.抜き出した部分について,8人の評定者が,(1)登場人物について(性別,人種,年齢),(2)性的行動(手で性器を刺激する,口で性器を刺激する,挿入する,アナルを刺激する),(3)同意(明示言語,黙示言語,明示非言語,黙示非言語,反応なし,同意なし=場面転換した時点ですでに行為が始まっている場合)
4.カッパ係数にはかなり散らばりがある。年齢,黙示非言語は低く,性別,反応なしは高い。同意は概して低い
性的スクリプトの仮説に沿って分析
①「明示的な言語での同意は自然なものではない」
・2,850件の同意場面のうち,大部分は非言語:1,152件(40.5%)は明示非言語,866件(30.4%)は黙示非言語
・言語は少なく,明示言語が338件(11.9%),黙示言語が301件(10.6%)
・反応なしは192件(6.7%)
②「女性は間接的,男性は直接的」
・男性と比べて女性は,明示言語が有意に少ない(χ2 (1) = 31.53, p < .001, φc = .136)
⇒ 女性:15.6% vs 男性:26.8%
・男性と比べて女性は,黙示非言語が有意に多い(χ2 (1) = 61.82, p < .001, φc = .190)
⇒ 女性:57.6% vs 男性:37.8%
③「セックスは継続的なコミュニケーションなしに起こる」
・同意場面のうち25.1%は同意なし
・性的行動の種類ごとに同意なしの割合が異なる(χ2 (3) = 181.74, p < .001, φc = .286)
⇒ 挿入する:47.8%,口で性器を刺激する:20.6%,アナルを刺激する:18.9%,手で性器を刺激する:14.5%
④「程度の低い行動に明示の同意はいらない」
・性的行動の種類ごとに明示言語の割合が異なる(χ2 (3) = 27.49, p < .001, φc = .129)
⇒ 挿入する:22.0%,口で性器を刺激する:21.8%,アナルを刺激する:20.0%,手で性器を刺激する:10.0%
⑤「性的行動を受ける側は,何もしなければ同意をしたことになる」
・性的行動の方向(性的行動をする側かされる側か)ごとに明示言語の割合が異なる(χ2 (1 = 139.14, p < .001, φc = .292)
⇒ する側:2.1%,される側:20.6%
・上のような性的スクリプトがAVには存在する
・若い人々はこのような性的スクリプトに影響を受け得る
・性的スクリプトでは黙示の同意が優勢で,きちんと同意をとるべきだと主張する人はこのような性的スクリプトに反対するかもしれないが,むしろ性的スクリプトに触れている人の方が非言語の同意を読み取る力に長けている可能性もあり得る
⇒ このような性的スクリプトが悪いものなのか良いものなのかについて研究が必要